さらに、燃焼の過程で温室効果ガスであるメタンが漏れ出すリスクや、観光地として訪れる人々の安全確保といった課題も指摘されています。
この問題を重く見たのが、ベルディムハメドフ大統領です。
2022年、彼は「地獄の門を封鎖すべきだ」と明言し、具体的な対応策の検討を命じました。
とはいえ、それまでに何度も消火を試みては失敗してきた経緯もあり、実現性については懐疑的な声が多かったのです。
【地獄の門】実在する「地獄の門」はもう誰も閉じることができない!
しかし2025年6月、ついに地獄の門が閉まり始めたというニュースがもたらされました。
「地獄の門」の炎が小さくなっている
2025年6月5日、トルクメニスタンの首都アシガバートで開催された科学会議「TESC 2025」において、トルクメニスタンの科学者たちは、地獄の門の炎がようやく消え始めていると発表しました。
54年も燃え続けた地獄の門が、なぜ閉じ始めたのでしょうか?

同国の国営ガス企業「トルクメンガス(Turkmengaz)」の取り組みが関係しているようです。
彼らが行う閉鎖作業の要となっているのが、「坑井(こうせい)」と呼ばれる新たなガス採取井戸の掘削です。
地獄の門の近くに新たな坑井を複数掘削し、地下から噴き出す天然ガスを直接回収してパイプラインへと導くシステムを構築しているのです。
加えて火口付近に存在する坑井のいくつかを再び稼働させています。
これらの方法を用いるなら、天然ガスを地獄の門の火口に届く前に回収できます。
地獄の門の炎の規模を縮小できるだけでなく、天然ガスの有効利用も可能というわけです。
実際、プロジェクト関係者によれば、2025年春の時点で炎は従来の3分の1程度にまで縮小し、遠くからでは炎が確認しにくくなったと報告されています。