配送ドローンの商用化に向けた取り組みも拡大

 配送ドロイドのほかにも、配送ドローンの商用化に向けた取り組みも広がっている。国土交通省が23年度に行った委託事業「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証に関する調査業務」では、9つの事業者がレベル4飛行による自動配送ロボット連携の実証実験を実施した。レベル4飛行とは、人口密集地域での目視外無人飛行。もっとも、法律では配送ドロイドは小型ロボットに限られていたり、ドローンも飛行ごとに申請・承認が必要であったりと、普及に向けたロードマップは短くはない。

 配送ドロイドの実用化が進むのか。大手飲食チェーン関係者はいう。

「大きな荷物や長距離配送は運送会社やメーカーなどで無人トラックの開発・実証実験が進んでいるようなので、その進展を待つというかたちになるでしょう。一方、スーパーやコンビニの日用品や食品類、飲食店の料理が配送ドロイドの対象となってきますが、信号での停止・横断やヒト・モノ・車両との接触回避などを踏まえると、ハードルは低くはないでしょう。ヒトがロボットを遠隔操作するかたちですと結局、その人件費が発生しますし、ハード・システムの導入費・メンテナンス費用もかかることになり、コスト削減にはつながりにくいです。

 また飲食店の料理は直接、ヒトが口に入れるものなので、ヒトが運ぶということが“配送時に第三者が触ったりイタズラをしていない”ということの担保になっている面もあり、いくら遠隔でロボットの動作を監視しているといっても、ユーザー側の心配というのはなかなか解消されにくいでしょうから、スーパーなどの商品の配送よりもハードルが高くなってくるのではないでしょうか。とはいえ、人手不足は今後も小売店・飲食店の重い課題であり続けますし、配送ロボットの技術的進歩と価格低下は進んでいくでしょうから、将来的には、こういったものを使う動きが広がるという流れになっていくかもしれません」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)