報告書によると、犯罪現場は圧倒的に路上とインターネット上だ。看過できない点は、大学内で事件が増加してることだ。例えば、ステッカーや落書き、イスラエル人人質追悼集会参加者への攻撃、ホロコーストを記念する標識の破壊行為などだ。

教育機関における反ユダヤ主義的な事件の発生件数は昨年、大幅に増加した。大学では前年比3倍となる151件から450件に増加した。学校では、ユダヤ人が排除され、侮辱され、中東戦争の責任を負わされたケースが284件発生。少なくとも19件で襲撃事件が発生している。

ちなみに、トランプ米政権は名門ハーバード大学に対して留学生受け入れ資格の剥奪など圧力を行使しているが、その背後には、同大への中国の影響力拡大ばかりか、大学が反ユダヤ主義の温床の地となっていることが指摘されている。ドイツの大学も米国の大学と同様、反ユダヤ主義活動の拠点となってきているのだ。

「ドイツ・ユダヤ人学生連合」のロン・デケル会長は「RIASの最新年次報告書の数字は、全国のユダヤ人学生が長年経験してきたことを裏付けている。彼らはドイツの大学で安全を感じることができない。2024年には、56か所で450件の反ユダヤ主義事件が教育機関に報告された。特に憂慮すべきは、イスラエル関連の反ユダヤ主義が蔓延していることだ。ユダヤ人学生が自分の学問的関心からではなく、キャンパスでの安全度に基づいてコースを選択しなければならない状況は容認できない」と述べている。

また、ドイツにおけるユダヤ人生活および反ユダヤ主義との闘いに関する連邦政府委員のフェリックス・クライン博士は「ユダヤ人への憎悪がほんの数年前には想像もできなかったほど、ドイツにおいて蔓延してきている。私たちは反ユダヤ主義との闘いをさらに拡大し、連邦政府、政治家、行政機関に加え、市民社会全体が結束して、民主主義的価値観を脅かす反ユダヤ主義の憎悪に対して立ち上がらなければならない」と訴えている。