だが、フリマアプリが「なんでもあり」となれば「合法」が免罪符となり、経済的合理性だけが大正義になる。
しかしSwitch 2のような商品においては、次の3点で問題が指摘される。
任天堂の抽選制度や価格設定の“意図”を悪用していること 本来のターゲットである子供やライトユーザーが不利益を被っていること ブランドのイメージや消費者との信頼関係を損ねる結果になっていること
このため、「合法であること」と「社会的に許容されること」は一致しない。
また、フリマアプリではこれまで、盗品が疑われる商品や食品のマーケットになったことで度々問題視されている。
経済的合理性はできるだけ優先しつつも、一線を越えた不健全な手が入ることにはできるだけ規制する必要はあるだろう。そうでなければダークウェブとの違いがわからなくなり、「社会悪や犯罪の温床」という悪評や印象を呼び込む事になりかねない。
転売ヤーへの不買運動は効かない
今回の炎上騒動で「転売ヤーに不買運動だ」という意見も多数見られた。メルカリに「通報」が有効でない可能性は高く、誰も買わなければこの問題は解決する。需要がなければ供給は断たれるのだ。
しかし、これは現実的ではない。なぜならその根底にはあまりに強力な需要が存在するからだ。YouTubeにはすでに多数のニンテンドースイッチ2のプレー動画が投稿されている。これから新しいソフトが出るたび、新たな作品が提供されるだろう。
そうなるとたとえばゲーム配信者にとって「持たざるもの」のリスクはすさまじい。動画クリエイターにとって旬のゲーム配信ができない機会損失は看過できず、どれだけ割高でも転売ヤーから買わざるを得ない。数万円程度高いコストはたった1回の先行配信の広告料で十分ペイできる。今回はそこに純粋にゲームを楽しみたいユーザーが巻き込まれてしまったわけだ。
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今回のSwitch 2転売騒動は、単なる「一部の悪質なユーザーの問題」ではない。任天堂の供給体制、メルカリの運営構造、そして我々消費者の行動が複雑に絡み合って引き起こされた、現代型の社会的問題である。