その結果、チームはBC8のスーパーダイヤモンドの生成条件を予測することに成功しました。

彼らによると、BC8が生成されるのは、高圧・高温の狭い条件の中だけだという。

具体的には、6000K(約5727℃)の温度と、1050GPaの圧力が必要になると予測されています。

炭素原子のBC8の生成条件
炭素原子のBC8の生成条件 / Credit:Ivan I. Oleynik(USF)et al., Journal of Physical Chemistry Letters(2024)

上図から分かる通り、さらに圧力を高めていくと、生成可能な温度の幅はいくらか広がると考えられます。

そして生成されるBC8のスーパーダイヤモンドには、通常のダイヤモンドに見られる「へき開性(一定の面に沿って割れやすい性質)」が無いとも考えられています。

ダイヤモンドは非常に硬く傷つきにくいことで知られていますが、実はこのへき開性により、靭性(粘り強さ)はそこまで高くなく、ハンマーなどで叩けば比較的簡単に割れます。

スーパーダイヤモンドでは、いわばその弱点すら解消されると考えられており、研究チームによると、「これを作るには膨大な費用が掛かるだろうが、その強靭性は計り知れないほど貴重なもの」です。

宇宙のどこかに、天然のスーパーダイヤモンドが存在するかもしれない
宇宙のどこかに、天然のスーパーダイヤモンドが存在するかもしれない / Credit:Canva

では、実際にシミュレートされたスーパーダイヤモンドを生成することは可能なのでしょうか。

地球上の装置で、スーパーダイヤモンドを生成できるかどうかはまだ分かりません。

しかし、研究チームは、「炭素が豊富な太陽系外惑星には、スーパーダイヤモンドが存在する可能性がある」と述べています。

最近の観測では、炭素を豊富に含む太陽系外惑星の存在が示唆されています。

それらの天体はかなりの質量であり、その内部の炭素は膨大な圧力にさらされている可能性があるというのです。

遠く離れた惑星には、もしかしたら天然のスーパーダイヤモンドが眠っているのかもしれませんね。