西部ガスは5日、脱炭素化に有効な合成メタン「e―メタン」を製造するメタネーションの実証事業を、同社グループのひびきLNG基地(北九州市)で開始した。地域で排出された二酸化炭素(CO2)などを原料として活用する「地産地消型」が特徴。事業費は約10億円で、2030年の商用化を目指す。 

 加藤卓二社長は同日の開所式で「カーボンニュートラル実現に向けたガスの脱炭素化の大きな一歩。地産地消型のe―メタン製造が全国の都市ガス事業者に広がることを期待する」と述べた。

 メタネーションは、再生可能エネルギーなどで作った水素と、回収した二酸化炭素を原料に使い、合成メタンを作る取り組み。大気中のCO2が増加しないほか、合成したメタンを既存のガス機器やインフラでそのまま活用できるため、環境性や経済性に優れている。

 同社の実証事業では、原料となるCO2を近隣工場の排ガスから回収装置で集めるほか、下水処理場からも調達。水素は再生可能エネルギーの余剰電力で水を電気分解し製造し、近隣の苛性ソーダ工場で生じる副生水素なども活用する。実証事業を通じ、原料の地域調達によるコスト低減効果や、CO2分離回収装置の運用などを検証する。

 12月まで実証運転を行い、その後の検証や技術開発を踏まえ、2030年のe―メタン商用化につなげたい考え。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/06/05-16:01)