クレムリンの声明によると、プーチン大統領は教皇に対し、トルコのイスタンブールで2日、開催されたロシア・ウクライナ直接協議について、両国が捕虜と戦死者の交換で合意に達したこと、ウクライナの子どもたちを家族と再会させるためにあらゆる可能な措置を講じていることを伝達している。

ちなみに、トランプ米大統領は、ウクライナ紛争の和平交渉の場としてバチカンを提案し、レオ14世もこれに賛成しているが、モスクワはこれを拒否した。ロシアのラブロフ外相は「ロシア正教を信仰する二つの国(ロシアとウクライナ)がカトリック教会(バチカン)の仲介で紛争を解決すべきではない」と述べている。

一方、バチカン側の報道によると、教皇とプーチン大統領は「ウクライナ情勢と平和」について話し合われたという。「ローマ教皇はロシアに対し、平和を促進する行動をとるよう訴え、両当事者間の前向きな関係を構築し、紛争の解決策を見出すための対話の重要性を強調した」と報じている。また、「レオ14世がプーチン大統領との電話会談でモスクワ正教会総主教キリルにも言及し、就任当初のキリル1世の好意的な発言に感謝し、「キリスト教の価値観を共有することが、平和の探求、生命の擁護、そして真の信教の自由の探求にいかに役立つ」と改めて強調したという。

キリル1世はプーチン氏の戦争を全面的に支援している宗教指導者だ。キリル1世はプーチン大統領のウクライナ戦争を「形而上学的な闘争」と位置づけ、ロシア側を「善」として退廃文化の欧米側を「悪」とし、「善の悪への戦い」と解説してきた。キリル1世はウクライナの首都キーウは“エルサレム”だと主張し、「ロシア正教会はそこから誕生したのだから、その歴史的、精神的繋がりを捨て去ることはできない」と主張し、ロシアの敵対者を「悪の勢力」と呼び、ロシア兵士に闘うように呼び掛けてきた張本人だ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。