イエス・キリストが長らく待たれている地球への再臨を果たす、それが2025年末までに起こるのか――。にわかには信じがたい話だが、数千もの人々がこの「世紀のイベント」に賭けているというから驚きだ。賭け金の総額は、なんと50万ドル(現在のレートで約7200万円)を超えているという。
キリスト教とイスラム教の双方で、イエスの再臨は教えられている。聖書によれば、イエスは一度、あの十字架刑の騒動の後に死からよみがえり、その後まもなく天に昇ったとされ、この「再臨」こそが、いわばイエスの物語の本格的な続編にあたるわけだ。これまでにも再臨の前兆とされる様々な出来事が語られてきたが、まさか暗号資産を使った賭けサイトがその憶測の舞台になるとは、誰も予想しなかっただろう。
賭けの舞台は予測市場サイト「Polymarket」
この奇妙な賭けが行われているのは、「Polymarket」という予測市場プラットフォームだ。ここでは、特定の出来事が起こるか起こらないかにお金を賭けることができる。より多くの人が「起こる」と考える事象ほど、投資額は高くなる仕組みだ。
現在、2025年のイエス再臨をめぐる賭けには50万ドル以上が集まっているが、その大半は「再臨は起こらない」という方に投じられている。とはいえ、現時点で「起こる」と信じて賭けている人々も全体の約3%おり、その賭け金は数千ドルにのぼる。もし本当に再臨が起これば、彼らは大きな利益を手にすることになるだろう。「起こる」の掛け金一口はわずか3セント(約4円)だというから、それでもかなりの数の人々がこの大胆な賭けに乗じていることになる。
再臨説の根拠?「千年期説」とその矛盾
こうした賭けの背景には、いくつかの再臨に関する説が存在する。その一つが「千年期説(Millennial Day Theory)」だ。これは、人類創造から6000年後に再臨が起こり、その後1000年間の平和な時代(千年王国)が到来するという考え方である。この説では、1000年を1日とし、現在は金曜日にあたる6番目の「千年期」にあり、6000年という節目を迎えれば土曜日、すなわち平和の時代が始まるとされている。
しかし、この説には大きな問題がある。科学的な証拠によれば、我々ホモ・サピエンス(現生人類)は、約30万年前にはすでに存在していたことがわかっており、人類の歴史は6000年よりもはるかに長いのだ。
