さらに新たな工夫として「アラビアガム」という天然由来の物質を加えた製剤を開発しました。
アラビアガムは樹木から採取できる多糖類の一種で、食品や医薬品添加物にも使われる乳化作用のある成分です。
これを配合することで、ナノ粒子の安定性を高め、製剤の粘性を約30分の1まで低下させることに成功。外用剤としての使用感を改良できる可能性を見出しました。
では、この新しいナノ化ミノキシジルは、どのような効果を発揮したのでしょうか。
ナノ化ミノキシジルは浸透しやすく、マウスの発毛を迅速に促すと判明
研究チームは、この新しいナノ化ミノキシジルの効果を確かめるために、マウスを使った実験を行いました。
実験では、マウスの背中に従来のローション剤や、ナノ化ミノキシジルをそれぞれ塗布しました。
その後、ミノキシジルがどのくらい毛包に浸透しているか、また発毛がどの程度促進されるかを観察しました。

その結果、ナノ化ミノキシジルを使用したマウスでは、従来のローション剤と比較して、毛包上部や毛包下部でミノキシジル濃度が増加しており、ナノ化によって薬物送達性が向上することが確認されました。
またナノ化ミノキシジルは、より早期かつ顕著な発毛促進効果をもたらすことも確認できました。
ナノ化ミノキシジルを使用したマウスは、従来の製剤よりも早く、8日目に発毛が確認され、その後も毛髪の成長が明確に促進されました。

塗布開始12日目の写真を見ても、その違いは明らかです。
今後は、このナノ化製剤がヒトにも同様に安全かつ効果的であるかを確認する臨床試験の実施が期待されます。
この画期的な技術が実用化されるなら、多くの人が悩む薄毛問題に、より迅速で確実な解決策を提供できる可能性があります。