ちなみに、ナス科のジャガイモには有毒性アルカロイドソラニン(Alkaloid Solanin)が含まれている。17世紀初めにはジャガイモがライ病をもたらすと疑われた。ロシアの農夫たちはジャガイモを「悪魔のリンゴ」と呼んでいた。ジャガイモが土の中で成長することから、「ジャガイモは悪魔との関連がある」といった偏見が強かったからだ。 しかし、ハプスブルク王朝の女帝マリア・テレジア(1717~80年)は農夫たちにジャガイモの生産を義務付け、プロイセン王のフリードリヒ2世(1712~86年)は“ジャガイモ政令”を発した。食糧危機を乗り越えるためにジャガイモへの偏見を打破するため強制栽培を命じたことから、ジャガイモが欧州で定着していった歴史がある。

ところで、ロシア全土は戦争に備えている。国防費は現在、経済生産の7%を占め、公式には政府支出の3分の1を占めている。事実上、すべての自由資源は軍事企業によって吸収されている。どこでも労働者が不足している。ロシア経済全体の成長は防衛部門に依存している。

ntvのハンネス・フォーゲル記者は先月17日、「プーチンには平和が許されない」という見出しで、「プーチン大統領は軍事力に頼っている。現在の優位な軍事状況はプーチン大統領が平和に興味を示さない理由の一つに過ぎない。それよりは、ウクライナ攻撃のために彼が構築した戦争経済は彼にほとんど選択の余地を与えていないからだ。もし突然銃声が止み、ロシアの軍需経済が衰退すれば、プーチン大統領の権力が危険にさらされる可能性があるからだ。プーチンには戦争経済が必要であり、そして戦争経済には戦争が必要だ」と解説している。要するに、プーチン大統領の戦争経済は国民から主食ジャガイモを奪っているのだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年6月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。