通常、宇宙船や人工衛星はロケットエンジンの噴射によって宇宙まで運ばれます。

しかし、アメリカ・カリフォルニア州を拠点とするロケット開発企業「SpinLaunch」が、回転させて飛ばす新しいロケット発射システムの打ち上げテストに成功しました。

室伏広治選手がハンマーをグルグルと回転させて遠くまで投げるように、巨大な装置がロケットをグルグルと回転させて上空まで投げ飛ばしてしまったのです。

目次

  • 回転させて初速度をアップさせる
  • 「ハンマー投げみたいなロケット発射システム」のテストが成功

回転させて初速度をアップさせる

物体を遠くに飛ばすためのごくシンプルな方法には、「回転させて投げる」というものがあります。

この技術は昔から様々な場面で利用されてきました。

例えば原始的な武器である投石器(スリング)は、紐を使って石を回転させながら放出します。

この方法により、石と紐だけで弓矢と同等以上の射程や威力が得られます。

またオリンピック競技でもあるハンマー投げも同様の原理を利用しています。

重い鉄球を紐や鎖を使って回転させ、遠くまで投げ飛ばすのです。

この「回転させて遠くまで飛ばす」原理はいたって単純です。

おもりを紐でつないだまま回転させ続けると、おもりはその場で周回スピードを上げていきます。

回転させてから放出すると、おもりは大きな初速度を得る
回転させてから放出すると、おもりは大きな初速度を得る / Credit:Depositphotos

そしてその状態で紐が離されると、おもりは大きな初速度で放出されるため、遠くまで飛んでいくのです。

この原理を子どもの頃に知ったとき、「ハンマー投げの鉄球でさえ遠くまで飛ばせるのだから、もっと大きな装置を使ったら、宇宙まで物を飛ばせるのかな?」なんて空想した人もいるのではないでしょうか?

そしてこの発想を実現してしまったのが、SpinLaunch社です。

彼らはロケットを回転させて、本当に宇宙まで投げ飛ばしてしまったのです。

「ハンマー投げみたいなロケット発射システム」のテストが成功

「自由の女神」像よりも大きい
「自由の女神」像よりも大きい / Credit:SpinLaunch