ブルームバーグが「トランプ大統領、中国が米国との合意に「完全に」違反した(原文:”totally violated”)と主張」という記事を出した。

「違反」の具体的な内容は、5月11日にジュネーブで合意したレアアース7品目の輸出規制取消しの効果が確認できない、ってことらしい。

うーん。米国だって「ジュネーブ休戦」以来、半導体関連の対中封じ込め措置の強化、中国人留学生のビザ撤回とか、中国側を怒らせる措置を次々と繰り出したでしょ。

自分達が中国の立場に立てば、中国がそんなニュースの最中で、米国が喜ぶ措置を国内的に実行しづらくなることは自明の理だと思うがな…

実際のところは、トランプ政権の中で「対中政策でいちばん重要で要緊急なことは何か?」のプライオリティ付けが整理できていないんだと思う。

トランプ自身は関税戦争を成功裏に決着させることがトップ・プライオリティなんだろうけど、対中タカ派連中に向かって「今は交渉の妨げになることは控えろ」と命じることができない。結果として、中国から見れば「トランプは何がしたいか分からない」状態になっちゃう、ってことじゃないかな。1期目トランプ政権にも見えた問題だけど、2期目も払拭されてないみたい。

で、「完全に違反した」と認定して、この後はどうするつもりだろうか?

対中関税率をまた145%に戻せば、金融市場が荒れて米国債がまた売られる恐れが大きいのでは?

そもそもトランプは習近平に何をして欲しい?

対米輸入を大幅拡大→内需が低迷する今の中国じゃ望み薄 中国の対米投資を大幅拡大→それは米国側が「ノーサンキュー」 人民元を元高に調整→「日本の二の舞(プラザ合意で罠に落とされた)」を恐れる中国世論が猛反対 中国が保有する米国債の負担軽減→例の「マールアラーゴ合意」ってヤツだけど、実質は債務を免除してくれって中身だ。米側がこれを持ち出せば中国側は「米国が台湾から手を退いてくれれば考える」って言うんぢゃないかなgkbr

というわけで、米中交渉のこの先は、まったく視界不良なのでした。

ベッセント財務長官Xより