このように複合的な要因があると考えられる。

AIの真価は仕事で現れる

「無料版で十分」と感じるのは、そもそも仕事で使う人が少ないからだ。筆者は、生成AIを「仕事の中で使うこと」によって初めて、その真価が発揮されると実感している。

自分は生成AIの有料版は仕事ではもちろん、以下のような仕事以外の日常でも「知的インフラ」として活用している。これらは無料版では不可能か、極めて困難な作業だ。

たとえば引っ越し先の選定だ。国土交通省の土地データをChatGPTに直接読み込ませ、長期的な人口動態や土地、不動産価格やハザードリスクなどを考慮した上で、将来性のある引っ越し先の候補地を絞り込んで引っ越し先を決めた。構造が複雑でパラメーターの多い選定要素も、o3モデルは高い精度で解析できる。

また、個人の価値観やリスク許容度が非常に大きく左右される資産運用についてもAIは大活躍だ。過去の市況やデータを学習させ、モンテカルロシミュレーションを用いて「将来の収益変動の可能性」を数値的にモデル化し、資産運用計画の妥当性を検証。シミュレーションやバックテストをPythonで自動化する提案をしてくれた。

以前から感情を排除し、システマティックな投資をしたかったが、このような技術を持たなかった筆者は大いに助けられた。

その他には子供の教育、旅行のプランニング、医療や法務などありとあらゆる日常使いでも活用することが可能だ。

これらは個人使いの例に過ぎないが、やはりAIは仕事で使うのが最も価値が高い。慣れない頃は「Google検索で十分」「自分でやる方が手直しがなくていい」となるが、これは「他者に仕事を振る能力」が鍛えられていないからだ。

毎日使っていればプロンプトは洗練され、過去のやり取りをAIが学習することでドンドン効率は高まる。そうなれば有料課金に興味が移り、一度使うとその生産性の高さに手放せなくなる。この一連のプロセスで最も得をするのは自分なのだ。