得られた結果を見ると、右手の2D:4D比と最大酸素摂取量との間には強い相関関係がありました。

より具体的には、この指標によって、分析対象者の最大酸素摂取量のバラつきを42%も説明できるというものです。

一般人からアスリートといった幅広い人たちを対象とした研究ではなく、選ばれたプロサッカー選手のみを対象として、2本の指の長さだけで最大酸素摂取量の3分の1以上が説明できるのはちょっと意外です。

研究グループは、持久力が重要な長距離走、テニス、ボート、サッカーなどのスポーツにおいて、指の長さの比率がコーチやスカウトにとって有用な指標になる可能性があると指摘しています。

しかし、なぜ単純な指の長さの比がこれほど持久力に影響するのでしょうか?

2D:4D比とスポーツパフォーマンスとの関係

この2D:4D比、実は胎児期(出産前)に母親の体内から受けるテストステロンなどの男性ホルモンの影響を示す指標として知られています。

胎児期にこれらのホルモンを多く受けると心血管系など持久力に深く関係する諸器官がより発達する可能性がありますが、それと同時に薬指が発達し、2D:4D比が小さくなるというのです。

研究グループも、低テストステロンがエネルギー生成に必要なミトコンドリア機能を損なうなど、いくつかの理由を挙げ、2D:4D比が小さいことと優れた持久力との関係を推察しています。

2D:4D比は胎児のときの成長と関連する可能性がある
2D:4D比は胎児のときの成長と関連する可能性がある / Credit:canva

実際、2D:4D比とスポーツパフォーマンスとの関係を調べた研究は数多く、中には日本の国技である力士を対象とした報告もあります。

こちらの研究では、100人以上の関取(十両以上の力士のこと)の指の長さを調べたところ、2D:4D比が低い、すなわち薬指の方が長い力士は、番付や勝率が高かったことが報告されています。

この結果は、高いパワーが求められる競技においても、指の長さの比率がスポーツパフォーマンスと関係することを示しています。