スマホさえあれば誰でも試せる手軽さが最大の魅力

 そうしたなかでAIコーディングエージェントをめぐって大手テック企業が開発競争を展開し、急速に技術的な向上が進んでいる。OpenAIのCodexはプロンプトを入力して「Code」ボタンを押下すると、1~30分ほどでタスクを完了する。さらに生成されたコードに関する質問もできる。現在はChatGPT Pro、Enterprise、Teamプランのユーザーが利用可能となっている。Codexにはどのような特徴があるのか。ソフトウェアエンジニアで合同会社Hundreds代表の大塚あみ氏は次のように解説する。

「Codexは、ChatGPTに組み込まれた“自律型AI”です。アプリ画面の入力欄に『ここの動きが遅いので直して』『写真を並べるボタンを追加して』などと日本語で書くと、AIが読み込まれたフォルダを解析し、作業用のパソコンを立ち上げてプログラムを書いた後、数分後に修正済みのファイル一式を丸ごと返してくれます。スマホさえあれば誰でも試せる手軽さが最大の魅力です。

 しかも、これまでの一問一答型チャットと違い、AIが自分で状況を判断しながら数百行もの修正を一気に行い、GitHubにプログラムを直接プルリクエストすることができるため、やり取りが少なくて済みます」

 気になるのは、ほぼ同時期にグーグルが発表したJulesとの違いだ。

「一方、グーグルが発表したJulesも狙いはほぼ同じですが、まだβ版(試験運用中)で、1日に使える回数などに制限があります。将来はCodexと同様の機能に加え、グーグルのサービスを作るときに役立つと期待されるものの、正式版が出るまでは実質的にCodexを選ぶ流れになるでしょう」(大塚氏)

 中堅IT企業のエンジニアはいう。

「AIコーディングツールと聞くと、プログラミングのスキルがない人でも簡単にプログラムを組めるというイメージがあるが、企業で使うシステムや多くの人が利用するシステムは長期にわたって運用されるため、メンテナンス性や拡張性、セキュリティなど多くの点を考慮しながら開発する必要がある。また、AIが生成したコードが正しいのかを判断して修正していく必要もあり、使う人にも一定のプログラミングに関するスキルが必要になってくるのが実情。ただ、今後より機能の優れたAIコーディングツールが増えてくれば、開発の効率が大幅に向上するという方向になっていくと期待できる」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=大塚あみ/合同会社Hundreds代表)