ネコが小さなお皿に注がれたミルクをペロペロと舐める。
そのような光景は昔から絵本やアニメ、映画にたびたび登場し、私たちの中に「ネコ=ミルク好き」というイメージを根づかせてきました。
また実際にネコにミルクをあげる方も少なくないかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
そのミルク、本当にネコにとって「幸せなごちそう」なのでしょうか?
これまでの科学的調査によると、研究者たちはどうやら違う答えを出しているようです。
目次
- ミルクは「お腹を壊す原因」になる?
- それでもネコがミルクを飲みたがる理由とは?
ミルクは「お腹を壊す原因」になる?
ネコがミルクを飲むことは、ごく自然なことのように思えます。
実際、子猫は母ネコの乳を飲んで育ちます。ところがその「母乳を飲む時期」を過ぎると、彼らの体にはある重大な変化が起こります。
それが「乳糖不耐症」です。
乳糖とは、ミルクに含まれる糖の一種。これを分解するためには「ラクターゼ」という酵素が必要なのですが、ネコは生後6〜12週ほどで離乳すると、この酵素の生産をほとんどやめてしまいます。
つまり、それ以降のネコは乳糖をうまく処理できず、体に取り込むことができなくなるのです。

その結果、乳糖は消化されないまま腸にたどり着き、腸内細菌によって発酵してしまいます。
このときに生じるのが、
・ガスの発生(おならが増える)
・膨満感(お腹が張る)
・腹痛や吐き気
・下痢
という一連の不快症状です。
たった一杯のミルクが、愛猫の腸内でそんな混乱を引き起こしているとしたら……少し考え直したくなりますよね。
さらに慢性的な下痢が続くと、脱水症状や栄養失調、場合によっては命の危険すらあると報告されています。
加えて、乳糖不耐症とは別に、まれに「乳製品アレルギー」を持つネコもいます。
アレルギー反応が出ると、皮膚のかゆみや嘔吐などが起きることもあるため、軽視できません。