「信じる心」は遺伝子に刻まれていました。
デンマークのコペンハーゲン大学(UCPH)で行われた研究により、見知らぬ人を信じる力を与えてくれる「信頼遺伝子(PLPP4)」の存在が明らかになりました。
見知らぬ人に電車代やバス代を貸すことは誰にとっても怖いことですが「信頼遺伝子(PLPP4)」の働きが強い人々はこの恐怖に打ち勝ち、見知らぬ人を信頼できるようになります。
もし将来的に信頼遺伝子を活性化する薬を開発できれば、さまざまな用途への活用が見込めるでしょう。
研究内容の詳細は『Scientific Reports』にて公開されています。
目次
- 見知らぬ人を「信じる力」はDNAに刻まれている
- 信頼遺伝子は「闘争・逃走反応システム」を抑制している
見知らぬ人を「信じる力」はDNAに刻まれている

人を「信頼」には大きく2つの種類があります。
1つは家族や友人に対する「信頼」で、もう1つは見知らぬ人に対する「信頼」です。
家族や友人に対する信頼は仲間を助けるだけでなく、仲間からの助けを期待できるという点において相互扶助の利益となります。
しかし全く見ず知らずの人間に対する信頼、特に今後の人生においてもう2度とかかわらないかもしれない相手への信頼は、家族や友人に対する信頼とは大きく異なります。
たとえば、見知らぬ人に「必ず返すから、電車代を貸してくれ」と言われた場合、家族や友人に対する信頼が厚い人でも困惑するでしょう。
つまり見知らぬ人々への信頼と個人の社会性の強さとは、ある意味で、異なる概念となります。
また見ず知らずの今後関わる可能性も低い相手への信頼は根拠がなく、電車代の場合にはお金が返ってくるか来ないか(0かマイナスか)というだけの、ギャンブル以下の結果にしかなりません。
心理学を持ち出すまでもなく、「0かマイナスか」という2択で人は「0」を選びます。