政治活動の根本的なコスト構造や資金の流れの不透明さを完全に解消するには至らず、問題が形を変えて再発するケースが後を絶ちませんでした。だからこそ、小手先の修正ではなく、構造に踏み込んだ改革が不可欠です。
構造的問題への処方箋
「お金がかかりすぎる構造」を改革し、「裏金」を生み出さない透明な政治活動のため、以下の制度改革を提案します。
選挙制度の変革:「地元回り」から「政策本位」へ全国ブロック比例代表制への移行:現在の小選挙区制度は地元への利益誘導や過度なサービス競争を招きがちです。全国単一ブロックの厳格な比例代表制(例:オランダ)に移行すれば、議員は特定選挙区に過度に縛られず、政党として国全体を見据えた政策本位の選挙が期待でき、不透明な資金需要を抑制します。
議員の処遇と政策活動費の見直し:「クリーンな活動」を支える公的支援政策活動経費の国費による手厚い支援と透明化:議員歳費は抑制しつつ、質の高い政策立案や調査研究のための経費(例:政策専門スタッフ雇用費)は国費で大幅に増額し、使途の透明性を確保します(例:英「Short Money」、独の議員スタッフ手当)。これにより、私設秘書への過度な依存や不透明な資金集めの動機を減らします。
選挙運動における広告規制の強化:「カネの力」でなく「政策の力」を有料広告の原則禁止と公的情報提供の拡充:選挙運動の高額な広告費は資金需要を増大させます。選挙期間中の候補者や政党による有料広告(新聞、ネット等)を原則禁止し、代わりに公設の候補者情報ポータルサイトや無料の討論機会を大幅に拡充します(例:ベルギー)。資金力に左右されない公平な政策比較を可能にします。
献金制度の抜本改革:「私的献金ゼロ」と「市民が支える政治」へ企業・団体献金の禁止と「政治資金バウチャー制度」の導入:企業・団体献金(パーティー券購入含む)は原則禁止し、政治資金は個人献金と公的助成を基本とします。さらに、市民が少額から政治資金提供に参加できる「政治資金バウチャー制度」(例:米シアトル)を導入。有権者に配布されたバウチャーを支持政党・候補者に寄付できるようにし、特定の富裕層や団体の影響力を低下させ、幅広い市民の政治参加と関心を高めます。