「三方よし」の哲学は、ビジネスだけでなく個人の資産形成にも応用できます。金融庁の調査によると、日本人の約25%が緊急時のための貯蓄を持っていないという現実があります。これは「自分よし」の視点さえも欠いた状態と言えるでしょう。

日本経済新聞の調査では、40代以上の約35%が「キャリア中にリストラや大幅な給与カットを経験した」と回答しています。このような予期せぬ事態に備え、生活費の少なくとも3ヶ月分(個人事業主や起業家の場合は半年分)を「守りの資産」として確保しておくことが、自身と家族を守る「自分よし」「家族よし」の選択となります。

「三方よし」の知恵

デジタル時代においても、「三方よし」のような互恵関係に基づく原則は決して色あせないということです。ビジネスにおいても資産形成においても、短期的な利益や自分だけの得を追求するのではなく、関わる全ての人や社会にとって価値ある選択をすることが、持続可能な成功の鍵となります。

資産形成は一朝一夕でできるものではありません。焦らず、コツコツと、そして何より「自分自身の知識」に投資することから始めることです。お金持ちの人々が当たり前のように実践している「お金の哲学」であり、「三方よし」の現代における実践方法なのです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)