超新星のサブカテゴリーとしては他に、大質量星の重力崩壊によって誕生するIb型およびIc型超新星などがあります。
ここまでは比較的シンプルな話ですが、ただテレイオスのサイズや距離については複数の可能性が指摘されています。
なぜ「完璧な球体」になったのか?
チームは「テレイオス」までの距離を推定することには成功しましたが、1つに絞ることができず、2つの候補に分かれました。
一方は約7175光年、もう一方は約2万5114光年です。
いずれかの距離によってテレイオスのサイズも大幅に変わってきます。
チームによると、仮に近い方の距離にあるとすれば、テレイオスの直径は約46光年になり、遠い方の距離であれば、直径は157光年になるという。
超新星の残骸は一般に、爆発で放出された物質の雲が時間とともに広がり膨張することで形成されます。
つまり、残骸の大きさの違いは、その年齢の違いを意味します。
近い距離にあるとすれば、テレイオスは比較的若く、誕生から1000年未満と考えられ、遠い距離にあれば、1万年以上前に爆発したものということになります。
しかし、どちらのシナリオにも問題があるとチームはいいます。
それは「Ia型超新星の進化モデルに基づけば、本来ならX線も観測されるはずだ」という点です。
ところが、テレイオスからはX線が一切観測されていません。
これはかなり不可解です。
そこでチームはもう1つの可能性として、テレイオスは「Ia型超新星」の亜種である「Iax型超新星」の残骸ではないか、という説と唱えています。
これは白色矮星が爆発によって完全には破壊されず、爆発後も「ゾンビ星」と呼ばれる残骸が残るタイプの超新星です。
このモデルは、テレイオスが放つX線なしの電波の特徴によく合致します。
ただし、その場合は距離がもっと近く、約3262光年である必要があります。
もしこのシナリオが正しければ、テレイオスはもっと小さく、直径は約11光年程度ということになります。
