デモンストレーションで小さな綿片を近づけたところ、ダンゴムシは反射的に体を丸めて、見事に綿をグリップしてくれました。
綿をリリースするまでに平均2分間はさみ続けたそうです。

さらにチームは水中でも再現するために、ダンゴムシに代わって軟体動物の「ヒザラガイ(多板綱)」をロッドの先端に装着しました。
ヒザラガイはアワビのように扁平な体で岩肌に吸着する仕組みがあります。
そして水槽の中でプラスチックや木片、コルクなどに触れさせた結果、しっかりと吸着して持ち上げることに成功したのです。
しかも研究者は「従来の吸引装置ではコルクや木片には吸着できなかったので、これは注目に値する」と話しています。
またヒザラガイは光を避けようとする習性があるため、レーザー光線を用いることで、物のグリップやリリースを自在に誘導できるかもしれないと述べました。

さらにチームはダンゴムシやヒザラガイの他に、有望な生物の具体例を挙げています。
平らな壁に貼り付くヤモリの手足や強力な吸着力を誇るタコやイカ、それに加えて、バクテリアの鞭毛(べんもう)を使ったミクロな物質の把持も構想しているそうです。
最も重要なポイントは「生物を傷つけない」こと!
一方で、チームは最も重要な点として「生物に一切の危害を加えない」ことを強調しています。
ロボット工学に生体を用いることは倫理的な側面から、厳正かつ慎重な配慮を要するものです。
チームは「生きた動物を扱う際には、生命倫理の規則や規制を徹底することが極めて重要になる」と言及。
その上で「私たちはどのような種類の動物を扱う際にも注意を払い、私たちの知識の及ぶかぎり、彼らの苦痛を避けるよう配慮していく」と述べました。