PS6の発売に向けて資本の蓄積を進めている
今年度(25年度)の業績が大きく伸びる計画にはなっていない背景には、ソニーGの先を見据えた戦略があるという。
「ソニーGはPS5の販売台数について、昨年度の1850万台から今年度は1500万台と、減る見通しを立てています。この影響で売上は減収ですが、利益は逆に増える見込みとなっています。今回の説明会で陶琳(タオ・リン)CFOは『今年は1500万台にこだわっていない』という主旨の発言をしていましたが、PS5は発売から6年目で下り坂に入るものの、まだそれなりに台数が出るタイミングです。ちなみにPS4は6年目のときに1780万台出ています。PS5も値下げして販売台数のアップを狙うという戦略も取れたと思います。しかし、利益とキャッシュフローを重視し、今年はコストをかけずに利益を出すという方針に取っていることが、全体でも最高益を更新する最大の要因と考えられます。米国の関税政策の影響もありリスクも大きいので、今年は守りに入っているのでしょう。
ここからは私の推測ですが、次世代ゲーム機のPlayStation 6(PS6)の発売に向けて資本の蓄積を進められていると考えられます。6月に発売される任天堂の『Nintendo Switch 2』が抽選でなかなか当たらないと話題になっていますが、ソニーGはPS5についてSwitch 2を上回る台数を用意しなければならず、多額の在庫投資が必要になるので、マーケティングコストをかけてPS5の売上をアップさせるよりは、PS6を大きく成功させることに主眼を置いているのだと考えられます。
Switch 2の初回販売台数は600万~800万台と報道されていますが、仮に同じくらいの台数でPS6の製造コストが10万円程度になると仮定すると、6000~8000億円の資金が必要となり、さらに台数を上積みすれば1兆円近くかかる可能性もあります。2027年のクリスマスシーズン発売を想定するならば、今から資金面の準備をしなければ間に合わないと見ています。そうした背景もあることから、今年は守りに入りながらもキャッシュフローを創出するというフェーズになっていると思われます」
では、ソニーGの時価総額がディズニーを超える可能性はあるのか。
「十分にあります。ここ数年、ディズニーはあまりヒット作を出せておらず、どちらかというとディズニーの時価総額が減ってソニーGに近づいてきたというのが実態に近いです。コンシューマーゲームのマーケットは世界で大きくなってきており、これまでサブカルといわれたゲームやアニメがメインカルチャーとなった今、任天堂やソニーがディズニーに時価総額ベースで追いついてくるというのは、それほど不思議なことではないでしょう」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=安田秀樹/東洋証券シニアアナリスト)
提供元・Business Journal
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