これは日本でコックリさんに使われる「あいうえお」や「はい・いいえ」が書かれた紙の祖先の姿です。

また穴の開いた木片も10円玉の役割と同じであり、参加者の指を乗せながら使われていました。

このウィジャボードは欧米で爆発的な人気を博し、日本では明治時代に、降霊術好きの外国人が立ち寄った港町を中心にブームが広がったとされています。

(※そんなアメリカンな起源を持つ降霊術がなぜコックリさんと和名で呼ばれるようになったかは後述)

そしてコックリさんのご先祖が世界中で大ブームを起こした理由は、その現象が「ホンモノ」であるからでした。

科学の信奉者である人々は口々に「参加者の1人が仕掛け人になっているに過ぎない」と主張します。

しかし以前の研究では、そんな否定派の人々を集めて実際にコックリさん(実際にはウィジャボード)を行ってもらった結果、10円玉の役割をする木片が、本当に勝手に動き出し「霊の存在を信じざるを得ない」との感想が得られたことが報告されたのです。

同様の実験結果は仕掛け人の存在を排除するためにランダムな人選を行った別の研究でも報告されており、参加者たちの指が乗せられた木片は参加者たちの意思に反して勝手に動いているように見えました。

この不思議な現象は、いったいどんな仕組みで発生しているのでしょうか?

研究者たちは実験を繰り返し、結果3つの主な要因を特定しました。

コックリさんを信じさせる3つの要因

コックリさんを信じさせる3つの要因
コックリさんを信じさせる3つの要因 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

1つ目の要因は観念運動効果(ideomotor effect)、いわば人間の無意識の動きです。

ある研究で、参加者たちに「高齢者」にかかわる単語を含む作文を行ってもらったところ、その後の参加者たちの歩行速度が明らかに低下したことが判明しました。

「高齢者にかかわる作文を作る」という行為が被験者たちの無意識に影響し、被験者たちの歩行運動(脚の筋肉)に大きな影響を与えていたのです。