掘るなら地表ではなく海底ですね。
こうして「マントル到達チャレンジ」は1961年にはアメリカが世界で初めて、海底を掘り進むことにチャレンジしました。
ところで、マントルへ向けてどんどん掘り進んだ結果、「モホ面を突き破ったらどうなるんだろう」と思いませんか?
あの図で見たオレンジ色の、湧き上がるマントルから灼熱のマグマが吹き上がってくるのではないだろうか?と恐れていませんか?
思い出してください。マントルは個体なんです。
しかも、濃いオレンジ色ではなく、綺麗な緑色です。
地震波には横波のS波と縦波のP波があります。P波は個体・液体・気体のいずれでも伝わるのですが、S波は個体しか伝わりません。実はマントルの中はS波が伝わるため、マントルは個体であることがわかるのです。
ドロドロのマグマじゃなくてよかったですね。
では、どうして緑色?
これは火山の噴火で出た噴出物を調べた結果、マグマが上昇する時にいわば削り取って一緒に上がってきたマントルの一部がかんらん岩であることがわかっているからです。

かんらん岩は緑色の鉱物です。宝石として通用するクオリティのものはペリドットと呼ばれます。8月の誕生石ですね。つまり、マントルは綺麗な緑色なのです。
何なら私たちは綺麗な宝石の上で暮らしているといってもいいかもしれません。
比較的新しい地球内部の図では、マントルは赤ではなく緑で表されています。

もちろん、これがわかる前でも、マントルへ到達することは地球科学で最も挑戦的な課題の一つでした。
そのため「モホール計画」が進行したのですが、1966年に終焉を迎えます。1961年に始まったアポロ計画との資金獲得競争に敗れたのです。
つまり、お金がなくなってとん挫したんですね。残念過ぎます…