米の価格高騰について、外国人観光客が食うせいだからインバウンドを規制しろとか、外国に輸出するのをやめろとか言い、それでも輸入拡大には絶対反対という人が多い。

しかし、フランス人が外国ワインの輸入をゼロにしろとか、外国人観光客がフランスワインを飲むからワインが足りなくなるので観光客は来るなとか、国内で不作で価格が上がっているから輸出もするなとか言うだろうか。

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今の日本人はまったく狂っている。ありとあらゆる危険な国粋主義の狂気が荒れ狂った国になった。米の自給策さえやめれば、インバウンドがどれだけ食おうが、不作になろうが、買い占めが起きようが、日本人は安心して美味しい米を現在の数分の一の価格で食べられる。また、米がなくても飢えるわけではない。トイレットペーパーの代わりはないが、麺とパンと芋などがあれば米がなくてもそれほど困るわけではない。

お米は、少し猶予期間をおいた上でだいたい数十パーセントの関税だけで守ればよい。大規模化すればそのくらいで生産は何十パーセントかは確保でき、それほど減らない。

さらに外国人労働力を入れれば、自給率はもっと増える。高級米は輸出で、量は少なくても収益は出る。海外で農地を確保したり、技術移転して日本人の口に合う米を作れば、食料安全保障は格段に高い水準で自給策よりも高まる。特に南半球や東南アジアの三期作地域であれば、季節要因も克服できる。

サーモンをチリで作らせたおかげで、日本のお寿司がどれだけ安くて美味しくなったか。ノルウェーのサーモンも日本のものよりおいしい。マグロも日本近海以外のものは輸入禁止にしたほうがよいのか。

物事を感情だけで気ままに語り、普遍的に考えられない民族は滅びゆくのだろう。

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