楽天グループ(G)は14日、2025年度第1四半期(1~3月)決算を発表した。同社は携帯電話事業に本格参入して以降、通期ベースで営業赤字が続いていたが、前年度(24年度)通期決算で5年ぶりの営業黒字に転換。業績の下押し要因だった携帯電話事業のMNO(移動体通信事業者)契約回線数が1年間で155万回線増加し、全契約回線数は830万回線(24年12月末時点)となり、ARPU(一契約あたりの月間平均収入)も24年12月には3019円にまで上昇し、目標だった楽天モバイルのEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)単月黒字化を達成。同事業の業績の大幅な改善が、グループ全体での黒字化に寄与した。そして同社は25年度について、楽天モバイルの通期EBITA黒字化を掲げており、その試金石となる1~3月の業績が注目されていた。25年度第1四半期決算の内容を速報する。

業績ハイライト

 25年度第1四半期の売上高にあたる売上収益は、前年同期比9.6%増の5627億円と同四半期としては過去最高を更新。取扱高の増加を背景に楽天カードが好調で、金利上昇に伴い楽天銀行も好調だったことが寄与した。営業利益は154億円の赤字、最終利益は735億円の赤字となった。同社が重視するEBITAは51.4%増の799億円、Non-GAAP営業利益(※)は3億円の赤字だが、前年同期(255億円の赤字)から大幅な改善となった。

※IFRSに基づく営業利益=「IFRS営業利益」から、楽天グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したもの

楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)

 国内ECなどのインターネットサービス事業は引き続き好調で、売上収益は3055億円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は132億円(25.8%増)と増収増益となった。同社は「『楽天市場』においては、顧客の利便性や満足度の向上を追求した各種施策を行った結果、流通総額及び売上収益が成長し、マーケティング効率の改善も相俟って増益となりました」「物流事業においては、2024年に開始した『Rakuten最強翌日配送』導入店舗の広がりや『楽天市場』の流通総額の増加を受けた配送量の増加及び配送単価の上昇により、売上収益の拡大と損失の縮小につながりました」としている。

楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)

 クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービスなどのフィンテック事業も増収増益。「楽天カード」の顧客基盤の拡大及びショッピング取扱高の伸長が継続。「楽天ペイ」のユーザー数増加に伴い取扱高が増加し、効率的なマーケティング施策も奏功した。

 楽天モバイルのモバイルセグメントは売上収益は1107億円(10.9%増)、セグメント損失は513億円となったが前年同期の656億円の損失から改善した。前述のとおり同社は楽天モバイルの通期EBITA黒字化を目標に掲げているが、今四半期のEBITA(固定資産除く)は1億円の黒字となり、幸先の良いスタートとなった。「楽天市場」「楽天カード」などを活用した施策などの結果、2025年3月の全契約回線数は約863万回線に伸びた。ARPUもデータ利用量の増加やオプションサービスの利用者の増加、Rakuten Linkにおける広告売上の増加等により2827円に上昇した。通信品質の向上に向けて2025年内に1万局以上の新規基地局を設置することで、解約率が良化して契約者純増が加速するとしている。モバイル契約を契機とした楽天エコシステムの新規ユーザー数も増加している。

楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)
楽天Gの悲願「楽天モバイルのEBITA通期黒字化」がみえた?類を見ない営業レバレッジ
(画像=『Business Journal』より 引用)

 このほか、財務面では、市場で関心が寄せられている多額の有利子負債について、2025年に満期が到来するものについては手当済であり、26年以降に満期が到来するものについては多様な調達手段を取ると説明する。