遺伝子編集技術の進歩は、もはやSFの領域を超えて現実のものとなりつつある。CRISPRなどの技術により、動物や人間の遺伝情報を書き換えることが可能となった今、その力をどこまで使うべきかという倫理的な問いが、世界中で急速に注目を集めている。
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キメラ動物と“半人半獣”の未来
近年、科学者たちは「キメラ」と呼ばれる異種交配の生物を作り出す実験を行っている。たとえば、ヤギとヒツジの遺伝子を組み合わせた「ギープ(geep)」や、マウスとラットの遺伝子を組み替えて作られたハイブリッド生物などがそれだ。
中でも最も議論を呼んでいるのは、人間の遺伝子を動物に組み込む実験である。たとえば、パーキンソン病や筋ジストロフィーの研究のため、ヒトの神経幹細胞をサルの胚に移植するというプロジェクトが進行中だ。こうした「ヒト化マウス」や「ヒト霊長類キメラ」は、医療研究にとって有用ではあるが、“動物が意識を持ち始めるのでは”という倫理的な懸念も浮上している。

(画像=ヤギとヒツジの遺伝子を融合させたgeep 画像は「Daily Mail Online」より,『TOCANA』より 引用)