黒坂岳央です。
SNSではよく「向いていない仕事はやめよう」「好きを仕事にしよう」という言葉が飛び交う。これは一理ある。特に経営者やフリーランスといった、自分で舵を取る働き方をしている人たちには刺さる考え方だろう。
だが一方で、「そもそも自分の向き不向きがわからない」「何が好きなのかすら見えない」と戸惑う声も多い。現実には、その“わからなさ”のまま40代を迎えることこそ、最大のリスクではないだろうか。
筆者からの意見としては、「向き/不向きがわからなくて困らないよう、40代までにはっきりさせておけ」ということだ。

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適正は簡単にはわからない
自分に合った仕事、自分が心から好きだと感じられる分野。それを最初から知っている人は、ごくわずかだ。
たとえば大谷翔平選手のように、子どものころから明確な目標を持ち、突き進んで夢を実現したワールドクラスの天才のケースは、きわめて稀である。
「心の直感に素直に従って好きを仕事にしなさい」はほとんどの人に役に立たないアドバイスだ。「それができないから苦労している」と返されるだけである。
自分自身、過去に10年近く努力を続けた会計の分野で「これは全く適性がない」と悟った経験がある。学生時代には一日8時間以上の勉強をし、「何が何でもこの道で生きていく!」と思い込んでいたが、実際に仕事として取り組んで、毎日のように終電まで残業をして祝日はスクールに通って勉強をしてもパフォーマンスが出せない。
そうした失敗の積み重ねでようやく、自分の向いていないことが少しずつ明らかにしてきた。
適性とは、頭で考えたりネット検索をしてもわからない。最悪なのがよくわからないインフルエンサーの意見を真に受けてしまうことだ。そんなことをすれば、ただただ認知が歪み、ますます自己理解の活動から遠ざかるだけである。
凡人のための「適正の見極め方」
では、天才ではない我々はどうすれば自分の適性を見極められるのか。