”アジアのユニコーン(Asian Unicorn)”と称される幻の動物の遺伝子解析に成功しました。
デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)はこのほど、世界で最も希少な哺乳類の1つ「サオラ」のゲノム解析に史上初めて成功したと発表。
この知見はすでに絶滅の危機にさらされているサオラを救うことにつながると期待されています。
研究の詳細は2025年5月5日付で科学雑誌『Cell』に掲載されました。
目次
- 幻の動物「サオラ」とは?
- サオラはまだ生きている?保護のための良い知らせも
幻の動物「サオラ」とは?

サオラは1992年にベトナムとラオスの国境に位置するアナミテ山脈で発見され、1993年に学術的に新種として記載されたウシ科の哺乳類です。
外見はシカやアンテロープに似ており、オス・メスともにまっすぐな2本の長い角を持ちます。
顔には白い模様があり、その独特な姿から「アジアのユニコーン」とも称されています。
生息地はベトナム北部からラオス中部に広がる熱帯モンスーン林のごく限られた地域で、人里離れた標高300~1800メートルの森林に生息しています。
サオラの生態は謎に包まれており、野生での生きた個体の観察記録は極めてわずかです。
主に草食性で、単独もしくは少数の群れで行動していると推測されています。
国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種に指定されており、生息数はすでに数百頭くらいしか残っていないのではないかと推定されています。
また2013年以降は野生下での公式な確認例がありません。
森林伐採や密猟、生息地の分断などが主な脅威となっており、保護活動が急務となっています。
サオラはまだ生きている?保護のための良い知らせも
コペンハーゲン大学の研究チームは今回、1990年代から保管されていた31体のサオラの標本のうち、状態の良い26体からDNAを抽出し、全ゲノム解析を行いました。