人類の歴史の中で幾多の文明の興亡が記録されているが、ひょっとすると文明の興亡は地球レベルでも起きていた!? 超古代の神話に共通して描かれている文明の滅亡イベントはその証左なのか――。
■古代神話は地球文明の興亡史なのか？
この地球上の文明は過去に何度も全滅していたのだろうか――。
世界中の古代神話には大洪水、天からの火炎、暗黒の日々、そして文明全体の崩壊といった壊滅的な出来事が描かれている。これらの物語はフィクションや比喩として扱われてきたが、もしも忘れ去られた地球規模の大災害のサイクルに関する手がかりを提供するメッセージなのだと考えてみればさまざまな想像が膨らんでくるだろう。
メディア「Curiosmos」によれば、たとえば大洪水イベントはあらゆる大陸の神話で語り伝えられており、メソポタミアの「ギルガメシュ叙事詩」、中東の「ノアの方舟」、インドの「マヌの洪水の伝説」、そしてホピ族、マオリ族、ヨルバ族の洪水物語は、いずれも過去の世界を消滅させた圧倒的な地球規模の大洪水を描いている。
多くの伝承では、天からの火炎についても語られている。北欧神話では炎に包まれて世界が終わりを迎え、ゾロアスター教の教えには世界を浄化する炎が説明されている。アステカ人は、かつての太陽の1つが炎に包まれて終わったと信じており、オーストラリア先住民の物語の中には、星が落ちて大地を照らすというストーリーもある。
暗闇もまた共通のテーマで、エジプトの文献には太陽の光が消えた日々について記されており、ヒンドゥー教の聖典には暗黒の時代「カリ・ユガ」について記されている。聖書にも太陽が暗くなったイベントが記されている。メソアメリカの神話ではいくつかの世界は空が暗くなり光が失われた状態で終わりを迎えている。
水、火、そして闇というテーマは、地域は言語はさまざまだが古代神話の多くに見られる。このパターンの繰り返しは単なる偶然以上のものを示唆しており、忘れ去られた地球規模の周期的な大災害の文化的記憶であるとも考えられる。
一部の研究者はこれらの神話は実際の出来事の記録であり、我々が最近になってようやく理解し始めた超長期的な自然のサイクルによって引き起こされたものだと考えている。
その一つが地球の歳差運動（さいさうんどう）で、地球の自転軸が公転面に対して約23.4度傾いていることから、春分点（太陽が春に地球を通過する位置）は、毎年約50秒ずつ東から西へと移動しており、2万5920年という途方もない歳月できわめてゆっくりと一周しているのである。
スフィンクスやストーンヘンジといった古代遺跡のには特定の星の配列が描かれており、古代文明もまたずっと前からこの歳差運動の動きを認識していた可能性があるということだ。
もう一つの可能性は小惑星衝突イベントである。ヤンガードリアス衝突仮説は、約1万2800年前、破片化した彗星が地球に衝突し、急激な寒冷化、大量絶滅、そして北米全土にわたる大規模な火災を引き起こしたことを示唆しており、この時期は多くの洪水神話や、北米大陸のクローヴィス文化のような高度な先史文化の終焉とほぼ一致している。
太陽活動も影響しているかもしれず、伝承の中には、太陽が暗くなったり、色が変わったり、激しく動いたりするなど、奇妙な行動を見せている描写もある。これらは、太陽フレア、磁気の乱れ、あるいは彗星の衝突による大気の変化といった、古代に観測されたイベントであったのかもしれない。
なぜこれほど多くの神話が現在の世界よりも前の世界について言及しているのか。そしてなぜ古代の人々はこうした知識の保存に尽力していたのか。
彼らの物語は、災害だけでなく復興についても語っている。滅亡イベントを生き延びた人々は、再び家を建て直し、子供たちに語り伝え、石に警告を刻んだのだ。もしかしたら神話は“サバイバルマニュアル”の断片なのかもしれない!?
そうだとすれば古代神話は我々に託された警告でもあり、近いうちに我々が直面するイベントの予告であるのかもしれない。全面核戦争などの人為的な滅亡イベントは全力で回避しなければならないが、それが自然災害や小惑星衝突であるとすれば如何ともし難いことになる。我々は広い意味での“ノアの方舟”の建造に着手しなければならないのだろうか。
文＝仲田しんじ
提供元・TOCANA
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