世田谷区の保坂区長は予算特別委員会で、第二次世界大戦中の米軍による空襲被害者に見舞金の支給を行うと表明した。
これについては、多くのマスコミが取り上げ、反響が大きかった。
世田谷区が「民間の空襲被害者への独自支援」検討へ 保坂展人区長が表明 都内の自治体では異例LMIcDBXqK
— 東京新聞デジタル (@tokyo_shimbun) March 21, 2025
東京 世田谷区 太平洋戦争中の空襲被害者に独自の支援へ #首都圏NEWSWEB CRnnPg92om CRnnPg92om
— NHK@首都圏 (@nhk_shutoken) March 21, 2025
筆者はこれを聞いたとき、正直、「なぜ?」という感じでしかなかった。世田谷区の空襲被害は東京東部とは異なり、いくつかの軍事施設は存在していたものの農村地帯だったこともあって、軽微だったことで知られる。ゆえに復興が早く、戦後は瞬く間に都内最大の住宅地となった。実際、区としてもこれまでまったく問題にしてこなかったのだ。
それがいきなり「世田谷区として補償したい」と保坂区長が言い出した狙いは明らかで、いつものパフォーマンスに過ぎない。空襲被害者の補償は国も都も行っておらず、世田谷区が実施すれば23区初、となる。それも戦後80年の節目に表明したのだから、思惑通り注目が集まった。
被害者については胸が痛む。亡くなられた方々には心から哀悼の意を表したい。しかし、これまで一切話題にしてこなかったくせに、思いつきのようにして持ち出す区長の態度には、疑問を抱かざるを得ない。被害者の特定方法や対象範囲、財源や他の政策との整合性はどうするのか? 今後、慰霊や空襲・戦争に関する記憶継承などは行っていくのか。
恒例行事の感がある社民党出身区長のアドバルーン打ち上げは、イメージ戦略としては成功なのかもしれないが、コロナ禍の全区民一斉PCR検査など、これまでも数々の「国より先にやりました」と言いたいがための“目玉政策”は、区民を惑わしてきた。