髪が多いと、電極が頭皮としっかり接触せず、ノイズが入りやすくなります。
特に日常生活の中で装着し続けるには、目立たず、かつ安定して脳波を取得できるデバイスが必要でした。

こうした課題を解決するために、今回の研究では髪の毛のように細く、柔軟で、目立たず、しかも高性能な電極が設計されました。
この新型電極は、3Dプリンタで髪の毛状に印刷されており、電極部には導電性ハイドロゲルを使用。
電極自体は生体接着剤を使用して頭皮に取り付けられますが、市販のEEGジェルの2倍の強度があると判明しています。
しかもシャワーを浴びたり、運動で発汗したりしても剥がれず、はがすとき剥がす時に皮膚にダメージを与えることもありません。
髪の毛のように細く、目立たず、貼るだけで使える電極なのです。
では、この新しい電極はどれほどの性能を有しているのでしょうか。
驚異の耐久性と伸縮性!「髪の毛型」電極は幅広い可能性を秘めている
研究チームは、実際にこの「髪の毛型」電極を被験者の頭部に装着し、さまざまなテストを行いました。
まず注目すべきは、その電気的安定性です。
通常、電極と皮膚の間に生じる電気抵抗(インピーダンス)が高いと、脳波の信号はノイズに埋もれてしまいます。
しかしこの電極では、頭髪がある頭皮上においてもインピーダンスが安定していました。
次に、長時間の装着耐性についてです。
被験者が日常生活を行いながら24時間連続で装着した状態でも、電極は剥がれることなく密着し続け、インピーダンスの変化もほとんど見られませんでした。
さらに、耐久性と伸縮性の試験も実施されています。
電極に対して100回の引っ張り(最大10%の伸張)を行った後でも、電気的特性に大きな変化はなく、安定した信号取得が可能であることが示されました。