世論調査研究所Forsaが4月15日から17日の間、1502人に支持政党を聞いた。その結果、AfDが支持率26%で、CDU/CSU(25%)を抜いて初めてトップに躍り出ている。2月23日に実施された連邦議会選では得票率は20.8%だったから5.2%増加したことになる。
BfVの評価を受け、AfDの政党禁止の声が高まってくることが予想される。政党の禁止は連邦議会、連邦参議院、または連邦政府が連邦憲法裁判所に要請することができる。SPDのセルピル・ミディヤトリ連邦副議長は「私にとっては明白だ。禁止措置は必ず講じなければならない」と述べている。
ドイツでは1956年、ドイツ共産党(KPD)を禁止して以来、政党が禁止されたケースはない。ドイツでは2017年、連邦憲法裁判所は極右政党NDP(国民民主党)の禁止要請について、「NDPが違憲性のある政党である点は疑いないが、国や社会に影響を与えるほどの勢力はない」として却下した。
ドイツの政治学者ヘルフリート・ミュンクラー氏はオーストリア国営放送のニュース番組のインタビューの中で、「NDPは勢力が小さすぎるから禁止されなかったとすれば、AfDは大きすぎるから禁止できないと言えるかもしれない」と答えていた。同時に、「民主主義は現在、世界的に守勢に立たされている。私たちは現在、台頭しつつある独裁政権と民主主義との間の世界的な競争の中にいる」と語った。
ドイツではCDU/CSUやSPDはAfDに対してファイアウォール(防火壁)を建て警戒してきたが、ドイツの場合、独裁者ヒトラーが武力行使(革命)で政権を掌握したのではなく、民主的プロセスを経てナチス政権を発足させ、ユダヤ民族の虐殺などの戦争犯罪への道を歩んでいった、という苦い体験がある。ドイツ国民には民主主義に懐疑的になる歴史的な事情がある。

AfDアリス・ワイデル党首インスタグラムより (2)
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年5月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。