・またその間は食事の提供や身の安全も担保されるため、傷の治癒にじっくりと時間をかけられる

ただその分だけ、人体は他の何らかの機能にエネルギーや栄養を回すことができるようになったのかもしれません。

これらはまだ仮説の域を出ていませんが、説得力のあるものとして提示されています。

今回の研究は「なぜ人間は傷の治りが遅いのか?」という謎に新たな光を当てる一歩となりました。

それは私たちの身体が、見えないところで他の哺乳類とはまったく異なる進化の道を歩んできたことを物語っています。

皮膚の治りが遅い――そのことすら、ヒトという種のユニークさを物語る進化の証なのかもしれません。

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参考文献

ヒトの皮膚は治癒が3倍遅い―ヒト系統で獲得された不利な特性であることを解明 ―
https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/66536/

元論文

Inter-species differences in wound-healing rate: a comparative study involving primates and rodents
https://doi.org/10.1098/rspb.2025.0233

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部