自民党の資産運用立国議員連盟が石破首相に提言書を提出しました。このグループは岸田文雄前首相が会長を務めており、今回の目玉は高齢者向けのプラチナNISAと呼ばれる新たな非課税枠の導入です。
これに対して日本経済新聞の田村編集委員がコラム「一目均衡」で鋭い批判を展開しています。
プラチナNISAとはシニアを対象に毎月分配型の投資信託を対象とした運用枠です。その理由としてシニア層が年金だけでは生活費が厳しく「インフレの中、運用しながら取り崩す必要性が高まった」ことを挙げています。
しかし、毎月分配型投資信託には問題が多いのが現実です。1つは分配金の数字によって運用成績が良いと勘違いする個人投資家が多いことです。
そして毎月分配型投信はコスト面でも割高です。投資信託のコストである総経費率で比較すると毎月分配型は平均で年1.7%。毎月分配型以外の平均である1.2%より高く、NISAのつみたて投資枠の対象ファンドの平均(0.5%)と比べれば更に割高です。
田村編集委員の提案する対案は、投資信託の定期売却サービスを金融機関に導入してもらうことです。
ネット証券の中には投資信託の定期売却サービスを提供している会社があります。これから無料で毎月自由に資金を取り崩すことが可能です。安い時に多くの口数を売ってしまわないために定率売却を選べる会社もあります。
こうしたサービスが広がらない背景には、システム投資をしても解約をされるために使われるのは割りに合わないという金融機関の本音が見え隠れします。
自民党の国会議員がこのような提言するのは、この夏の参議院選挙に向けてシニア層へのアピールをするのが狙いの1つだというのは明らかです。
もし、投資信託の自動解約の仕組みを知らないでこのような提言をしているとすれば、素人考えの無知な提言と言えます。
逆に高コストであることを知っていた上でこのような提言をしているとしたら、金融機関にも配慮しながらシニアの票を狙い余計なコスト負担をさせようという何とも狡猾な提言と言えます