話を戻す。フランシスコ教皇が今回、復活祭のミサを担当するか否かは現時点で不明だ。バチカン関係者によると、その日の天候次第という。医師団は「療養中の教皇にとって野外ミサはまだ無理がある」と受け取っている。

フランシスコ教皇は2月14日、ローマのジェメッリ総合病院に入院した。88歳のフランシスコ教皇の病状は、入院当初は気管支炎といわれたが、その後、両肺に炎症が広がっていることが分かった。教皇の容体が悪化し、一時期、持続性喘息性呼吸危機の症状となり、酸素呼吸が行われ、血液検査で血小板減少症と診断され、輸血が必要となったほどだ。同教皇は3月23日になってようやく退院したが、あと数週間は絶対療養が必要といわれている。

ちなみに、フランシスコ教皇は今年3月でペテロの後継者のローマ教皇に就任して12年目を終えたが、同教皇は2020年4月12日、「信者のいない復活祭」を体験している。バチカンでは復活祭はローマ教皇がサンピエトロ広場で世界から信者を迎えて記念礼拝を行い、最後には世界に向かって「ウルビ・エト・オルビ」の祝福を発することが慣例だが、2020年の復活祭はそれが出来ないという異例の復活祭となった。

その直接の原因は中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(covid-19)の影響だ。新型コロナの感染を防ぐためにバチカン側は「信者のいない復活祭」を挙行することにした。サンピエトロ広場ではなく、大聖堂内で復活祭の記念礼拝が行われた。フランシスコ教皇と儀典長グイド・マリーニ神父のほか、枢機卿、司教たちの数人の姿だけが見られた。今年は先述したように東西両キリスト教会が同日挙行する記念すべき復活祭だ。フランシスコ教皇はぜひともサンピエトロ広場で記念ミサを行いたいところだろう。

13日は聖枝祭だった。ローマではイエスのエルサレム入城を記念する厳粛な行列が行われた。聖週間(Holy Week)の始まりだ。そしてイエスの受難と復活が続く。