日本にも注目されているスタートアップが存在
こう解説するのは、国際技術ジャーナリストで「News & Chips」編集長の津田建二氏だ。だが、エヌビディアの対抗軸も力をつけてきているという。
「AMDやインテルも新しいGPUを開発していますし、スタートアップも出てきています。例えば日本のラピダスと提携したテンストレントやサンバノバが注目されています。サンバノバは従来のGPUの何倍もの性能があって、なおかつ消費電力がぐっと小さい半導体を開発していますが、ソフトウェアがまだ弱い。技術力は高いものの、マーケティングなどのビジネス面はこれからという状況です。
日本で注目されているスタートアップとしては、エッジコーティックスがあげられます。ソフトバンクなどからも資金を受けて、経済産業省所管の研究開発機関、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からも助成金を受けて開発を行っています。同社はエヌビディアと競合するというよりは、エッジ用のIC、AIチップの開発に力を入れています。
逆にエヌビディアと競合しそうなのがサンバノバやセレブラスです。セレブラスはTSMC(台湾積体電路製造)と組んで巨大なチップをつくっています。これらの企業に共通するのは、コンピューターまでつくっているという点です。単に半導体だけをつくるのではなく、それを組み込んだコンピューターまでつくっている。セレブラスはコンピューターを納入した実績があって、AIスーパーコンピューターとして運用されています。
ただ、こうした新興勢がエヌビディアを脅かすほどかといえば、まだまだです。サンバノバなんて技術力の高さでみれば、ずば抜けている感じがしますが、AI用ソフトはまだ揃っていません。なので、新興勢がエヌビディアの牙城を崩すとすれば5年から10年は先になるでしょう。エヌビディアには10年以上にわたり基礎的な研究も含めた蓄積があり、ハードからソフトまで含めたAIに関する巨大なプラットフォームを築いており、いくら新興勢が『ちょっと高い性能の半導体を開発しましたよ』と言っても、太刀打ちできる相手ではないのです」
(文=Business Journal編集部、協力=津田建二/国際技術ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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