研究チームは、ペロブスカイトで作った光吸収層(人工の葉っぱにおける「光を集める部分」)に、この銅ナノフラワー触媒(「変換を行う部分」)を組み合わせることで、CO₂からエチレンやエタンを生成する反応を引き起こすことに成功しました。
通常の金属触媒ではCO₂からせいぜい炭素1個のもの(COやギ酸など)しかできませんでしたが、銅ナノフラワーのおかげで炭素同士を結びつけたより複雑な炭化水素が「咲く」ようになったのです。
例えば下の図は、この人工葉の概念をアート風に表現したものです。

白い幹に金色の花が咲いた小さな木のようにも見えますが、実は金色の部分が銅ナノフラワー触媒、白い部分がペロブスカイトなどの半導体電極をイメージしています。
光を受けた「人工の樹」に銅の花が配線され、CO₂からエチレンやエタンが生み出される様子を象徴的に示しています。
自然の木が光合成で成長するように、人工の木から燃料となる炭素のペアが育っているのです。
この人工葉デバイスによって生み出されたエチレン・エタンの量は微量ですが、それでもこの分野では飛躍的な進歩です。
研究チームは、生成物のうち約10%がC₂炭化水素(エチレンやエタン)になることを確認しました。
これは言い換えれば、触媒に流れた電気の約一割が2炭素の燃料合成に費やされたことを意味します。
さらに、C₂炭化水素を作る速度を表す部分電流密度は155μA/cm²に達し、従来の人工光合成デバイスと比べて実に200倍もの大ジャンプとなりました。
研究代表のAndrei氏によれば、この新しいプラットフォームは「水とCO₂を使った従来のシステムに比べて炭化水素を200倍効率的に生産できた」といいます。