決死の脱出行と奇跡の発見
度重なる悲劇にも生き残った生存者たちは諦めなかった。特にナンド・パラード氏は、仲間を説得し、ロベルト・カネッサ氏らと共に決死の脱出に挑む。わずかな食料と手製の寝袋だけを頼りに、彼らは雪と氷に覆われた険しい山々を越え始めた。
山頂に立ったパラード氏が見たのは、さらなる山々の連なりだった。副操縦士の位置誤認により、チリはまだ遥か遠くだったのだ。仲間の一人は引き返し、パラード氏とカネッサ氏は二人で歩き続けた。9日間に及ぶ壮絶なトレッキングの末、約60kmを踏破した彼らは、ついに緑の谷と人影を発見する。チリ人の牧夫セルジオ・カタラン氏との出会いが奇跡の救助へと繋がったのだ。

(画像=ナンド・パラドとロベルト・カネッサ(手前)、セルジオ・カタラン 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)