火星の“有機物”を見落とした?

 博士によると、バイキング探査機は「塩素を含む有機化合物(クロリネート有機物)」を検出していた。これは当初、探査機自体の地球由来の汚染と判断され、重要視されなかった。しかしその後の探査で、火星にはこれらの化合物が自然に存在することが確認された。

 火星の微生物は、乾燥した塩の岩石に閉じ込められた水分を利用し、生存していた可能性がある。だが、地球の水を加えたことで、それらの微生物が環境ショックを受け、死滅してしまったのではないか――博士はそう推測している。

 さらに近年、火星探査車「パーサビアランス」によってアルカン(炭素と水素のみから成る有機化合物)の存在が確認されたことも、彼の説を後押ししているという。

50年前に「火星の生命」を発見していた? NASAが“誤って殺してしまった”という仮説に再び注目集まる
(画像=火星の表面から送信された最初の「鮮明な」画像 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)