人類の歴史は約6000年前のメソポタミアとエジプトから始まっているが、それ以前に高度な文明が存在していた可能性はあるのだろうか――。
■人類史以前に滅亡した文明の痕跡
地球の歴史を語るうえで最も物議を醸している説の一つである「ヤンガードリアス衝突仮説」は、およそ1万2800年前に巨大な彗星の破片が地球に衝突し、山火事、洪水、大気圏の崩壊を引き起こして全地球的な気温低下を招き、大型動物は絶滅し、生態系全体が崩壊するヤンガードリアスと呼ばれる突発的で激しい寒冷化が訪れたとする説だ。もしもこの時期に文明が栄えていたとすれば、文明全体が消滅していた可能性もある。
その破局の前に存在していた文明の痕跡は残っているのか。
トルコ南東部で発見された遺跡、ギョベクリ・テペは紀元前9600年頃に由来するとされ、高さ5メートル以上、重さ20トンにも及ぶ巨大な石柱が、円形の囲いの中に配置され、動物やシンボルが彫られているが、その意味は未だ解明されていない。

ギョベクリ・テペはヤンガードリアス期に滅亡した文明なのだろうか。同様の時期の遺跡はほかにもいくつかある。
ギョベクリ・テペからわずか35km 離れたカラハンテペ(トルコ)はさらに古く、人間のような彫像と似たT字型の柱が特徴でである。

残念ながらダムの底に水没したネヴァル・チョリ(トルコ)は、紀元前8500年頃の初期の巨石建築を示している。
新石器時代の遺跡であるワディ・フェイナン(ヨルダン)とアイン・ガザル(アンマン)は、紀元前8500~7500年にかけての複雑な社会構造と大規模な建築物の存在を暗示している。
タッシリ・ナジェール(アルジェリア)には、正確な年代を特定するのが難しいものの、奇妙な衣装を着た生き物を描いた洞窟壁画があり、おそらく1万年以上前のものである。

彼らの文明や文化が現在の人類史に結びついていないのはどういうわけなのか。やはり一度滅亡したのだろうか。
およそ7万年前から1万年前にかけての最終氷期には海面は現在よりも100メートル以上低く、人類の初期の居住地の多くは常に水辺にあったが、今ではその多くは水没している。
しかしそのうちのいくつかは発見されている。
インド沖のドワルカは、石壁、格子、錨を備えた海底都市で、一部の研究者によれば少なくとも紀元前7500年頃に遡ると考えられている。
パブロペトリ(ギリシャ)は青銅器時代の沈没都市で、通り、建物、中央広場があり、紀元前1000年頃に水没したと考えられているが、それよりも古い可能性もある。
地中海の下に埋もれたアトリット・ヤム(イスラエル)には、紀元前7000年に遡る石造りの家、墓、石の環状列石がある。

これらの遺跡が我々の歴史以前のものであるとすれば、いったい誰が建てたのだろうか。
LIDARスキャン、衛星画像、そして水中探査の進歩は、我々の過去に対する見方を急速に変えつつある。アマゾン、カンボジアのジャングルの奥地、そしてエジプトの砂漠の下からも、新たな遺跡が発見されている。
探査のためのツールが改良されるにつれ、以前に存在した都市、焼失と水没で失われた文化、教科書に記されているよりもはるかに古い歴史の証拠を発見できる可能性も高まる。
水没した都市から古代遺跡まで、続々と発見されている超古代文明の痕跡は、かつてこの地球上にいた“先輩”の影をちらつかせるものでもあるだろう。彼ら“先輩”たちがどこへ行ったのか。あるいはやはり滅亡してしまったのか。我々の人類史が書き換えられる日はそう遠くはないのかもしれない。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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