では、なぜアルコールは決まって仲間と一緒に摂取しようとするのでしょうか?

これについて研究者は「社会的な絆を強化するためだろう」と推測しています。

アルコールにはドーパミンやエンドルフィンの分泌を促す作用があり、人間では「幸福感」「リラックス」「親密感の増加」といった効果をもたらします。

チンパンジーにも同様の神経系が存在するため、アルコールによる一時的な安心感や快感が、仲間同士の信頼感を高める役割を果たしている可能性があります。

これは人間の「飲みニケーション」にも通じる行動です。

ただ今回の調査報告はまだ、チンパンジーが発酵した果実を一緒に食べる様子が初めて撮影されただけであり、これが宴会文化の始まりであるとか、社会的な絆の強化行動であるとは断言できません。

それでもこのチンパンジーの行動は、宴会文化の原型を示すものとして、研究者たちは大いに注目しています。

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参考文献

Wild chimps filmed sharing ‘boozy’ fruit
https://news.exeter.ac.uk/faculty-of-environment-science-and-economy/wild-chimps-filmed-sharing-boozy-fruit/

Watch boozing chimps share alcoholic fruit. Is this how social drinking started?
https://www.livescience.com/animals/land-mammals/watch-boozing-chimps-share-alcoholic-fruit-is-this-how-social-drinking-started

元論文

Wild chimpanzees share fermented fruits
https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.02.067