IoTシステムに組み込んでいくことなどを想定か
では、Kuiperの本格運用開始が、世界の通信衛星サービス市場に何か影響を与える可能性というのは考えられるのか。
「スターリンクが一般ユーザの利用を想定しているのに対し、アマゾンは企業がKuiperをIoTシステムに組み込んでいくことなどを想定しているのでしょう。アマゾンは明言していませんが、やはりAWSとのシームレスな連携などで企業が使うことを想定して、個人から大企業まで広く使えるように価格を3つに分けていると考えられます。まだサービス価格は発表されていませんが、最上位のプランは1Gbpsぐらいの速度を実現するとみられており、値段は高く設定されるでしょうから、大企業による大規模なIoTサービスでの利用が想定されます。
そして基本的には屋外、それも街中ではなく辺境の地など衛星通信しか届かないような場所で使用されることが前提であり、例えばジャングルでの建設工事で車両の状況をリアルタイムに把握したり、集めたデータをAWS上で稼働するシステムで統合管理するというようなイメージを想定していると思われます。そうなると衛星アンテナが複数必要となってくるので、スターリンクと同じぐらい、もしくはそれ以下の価格を目標として考えているという情報は出ています。ですので、アマゾンとしては、スターリンクのシェアを逆転するかどうかはあまり意識しておらず、ターゲットが違うので棲み分けられると考えているのではないでしょうか」(伊本氏)
Kuiperとスターリンクの戦略には違いがあるという。
「アマゾンは他社との連携を得意としており、NTTやスカパーJSATグループ、ボーダフォンなどとの提携を模索しているという情報も出ていますが、他社と提携した上で、多くの企業に導入してもらうという方向性を模索しているのだと推察されます。『つながるようになったので、あとは皆さん使ってください』というスターリンクとは戦略がまったく異なり、AWSと衛星通信を使えば地球上のどこに行ってもシームレスにつながり、ビッグデータを使ったIoTのシステムが使えますといったようなことを前面に打ち出してくるのではないでしょうか」(伊本氏)
(文=Business Journal編集部、協力=伊本貴士/メディアスケッチ代表取締役)
提供元・Business Journal
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