刑事ドラマや科学捜査班のドラマで、現場に散らばる小さな証拠から「誰が銃を撃ったのか」と、犯人を突き止めるシーン、ワクワクしますよね。

実は、現実の犯罪捜査でも、こうした証拠を見つけ出すことが可能です。

オランダ・アムステルダム大学(University of Amsterdam)の研究チームは、「射撃するたびに生じる残留物」を瞬時に発光させる新しい検出技術を開発しました。

現場で「誰が銃を撃ったのか」を見分けるための、これまでにない強力な手がかりとなるかもしれません。

研究の詳細は、2025年3月9日付の『Forensic Science International』誌に掲載されました。

目次

  • 「誰が銃を撃ったのか」――即座に分かる新技術を開発
  • 銃弾の残留物である「鉛粒子」を緑色に発光させる

「誰が銃を撃ったのか」――即座に分かる新技術を開発

犯罪現場で「誰が銃を撃ったのか」特定できるかどうかは、事件解決の大きな鍵となります。

ここで重要となるのが「射撃残渣(GSR)」です。

射撃残渣とは、銃を発砲したときにプライマー(雷管)成分の爆発によって生じた超微細な粒子のことを指します。

これらは鉛(Pb)、バリウム(Ba)、アンチモン(Sb)などの金属成分を含み、人間の目では見えないほど小さな粒子となって、撃った人の手や衣類、顔などに付着します。

この射撃残渣を検出することで、現場で誰が銃を撃ったか、あるいは近くにいたかを推測できるのです。

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射撃残渣を分析すると誰が銃を撃ったのか分かる / Credit:Canva,ナゾロジー編集

これまでも、銃撃の際に発生する射撃残渣を調べることで、犯人特定に役立てる試みはありました。

代表的な方法が、SEM-EDS(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法)です。

この方法では射撃残渣に含まれる金属成分を高精度で検出できますが、非常に高価な装置と専門知識が必要です。