仕事や趣味に夢中で、つい夜更かしをしてしまった翌日、その寝不足分を取り返すかのように「爆睡」した経験が誰しもあるのではないでしょうか?

この”寝不足後の爆睡”は「リバウンド現象」と呼ばれています。

そしてこのほど、名古屋大学らの最新研究で、リバウンドを引き起こす脳のメカニズムが、オーストラリアドラゴンを用いた研究で明らかになりました。

リバウンドはある脳領域によって引き起こされていたようです。

研究の詳細は2025年4月17日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

目次

  • 睡眠リバウンドはどうやって起こるのか?
  • 寝不足後のリバウンドを起こす脳領域を特定

睡眠リバウンドはどうやって起こるのか?

寝不足の翌日にぐっすり眠れる現象は、科学的には「睡眠のリバウンド」と呼ばれています。

これは失った睡眠時間を取り戻すために、いつもより深く、長い睡眠が自然に起こる現象です。

リバウンド睡眠では、脳波を測定すると通常よりも大きな振幅の波が観察されます。

つまり、脳がより強く休息している状態が見て取れるのです。

この現象はヒトだけでなく、多くの動物でも確認されてきました。

しかし「どこに眠気が蓄積され、どのようにして深い睡眠リバウンドが引き起こるのか」については、長年の謎とされてきました。

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Credit: canva

これまでの研究では「大脳皮質」という脳領域が関わっている可能性が指摘されています。

しかしヒトを含む哺乳類では、睡眠の検出自体が大脳皮質の活動に依存しているため、もし大脳皮質を操作すると睡眠そのものの判定が難しくなるという課題がありました。

そこで研究チームは今回、爬虫類の「オーストラリアドラゴン(学名:Pogona vitticeps)」を用いることにしました。

オーストラリアドラゴンは、睡眠と覚醒を大脳皮質ではなく、「DVR(背側脳室隆起)」という別の脳部位の脳波で判定できるという特長があるからです。