20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、米ワシントンで23、24日(現地時間)に開かれる。トランプ政権が打ち出す高関税政策で、世界は「関税戦争」の様相を呈し、景気減速は避けられない。崩壊の瀬戸際に立たされる自由貿易体制を維持し、保護主義の拡大に歯止めをかけられるかが最大の焦点だ。

 日本からは、加藤勝信財務相と植田和男日銀総裁が出席する見通し。加藤氏は24日にべセント米財務長官と個別で会談する方向で最終調整に入った。為替問題について協議するものとみられ、先に開始された日米関税交渉とも絡み、ドル高懸念を強める米国側の出方が注目される。

 トランプ大統領は就任以来、鉄鋼や自動車などで相次ぎ高関税措置を発動。今月上旬にはほぼ全ての貿易相手国に「相互関税」を課したが、直後に上乗せ分を90日間停止するなど朝令暮改も目立つ。

 これに対し、中国は「断固として対抗する」として米国からの全輸入品に対する125%の報復関税を決定。伝統的な同盟国カナダのカーニー首相も「米国との古い関係は終わった」と述べ、一部の米国製自動車に25%の関税を上乗せする方針だ。

 世界貿易機関(WTO)は、2025年の世界のモノの貿易量が最大で前年比1.5%下落すると警告。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は講演で、近く発表する世界経済の成長率予想を大幅に引き下げると語った。

 G20は2月に南アフリカ・ケープタウンで開いた前回会合で、「保護主義への抵抗」を表明する「議長総括」を公表したものの、共同声明は見送った。今回の会合でも採択は困難だとみられている。

 一方、日本は既に米国との関税交渉を開始し、早期に合意を目指すことで一致。加藤財務相は今月18日の閣議後記者会見で、為替について「日米間で緊密に連携を図るという思いで協議を深く進めていきたい」と強調した。多国間連携の意義を守れるか、G20では日本のリーダーシップも問われることになる。 (了)
(記事提供元=時事通信社)

提供元・Business Journal

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