「お魚くわえたドラ猫〜♪」と国民的アニメでも歌われているように、”ネコ=魚好き”のイメージはとても強いです。

しかしイエネコの祖先は中東の砂漠育ちであり、もともと魚を食べる習性はありませんでした。

現代のネコは突出した肉食動物であり、主食は基本的に肉類ですが、魚好きのイメージは日本だけでなく、海外でもよく知られています。

にも関わらず、ネコが魚好きになった科学的理由はいまだ解明されていません。

そんな中、英ウォルサム・ペットケア科学研究所(WPSI)は2023年にその謎の解明に大きく前進する発見をしました。

ネコの舌にある「うまみ受容体」が、マグロに含まれるアミノ酸に特に強く反応することが分かったのです。

研究の詳細は、2023年8月8日付で科学雑誌『Chemical Senses』に掲載されています。

目次

  • ネコの味覚は「うまみ」に特化している?
  • どうやって「魚好きの舌」を獲得したのか?

ネコの味覚は「うまみ」に特化している?

ネコの味覚は「うまみ」に特化している?
ネコの味覚は「うまみ」に特化している? / Credit: canva

これまでの研究で、ネコは独特な味覚を持っていることが分かっています。

例えば、ネコの舌には甘味を感知する機能がないため、砂糖の味を感じることができません。

「これはおそらく、主食とする肉類に糖分が含まれていないためです」と研究主任のスコット・マクグレイン(Scott McGrane)氏は指摘します。

それからネコの舌はヒトよりも苦味受容体が少なく、これは肉食動物に共通して見られる特徴です。

他方で、突出した肉食動物であるネコは、肉の香ばしい風味に関連する「うまみ」を感じるのに特化していると考えられています。

うまみとは、甘味・酸味・塩味・苦味を含む5つの基本的な味覚成分のひとつです。

ヒトをはじめとする多くの動物では、2つの遺伝子:Tas1r1とTas1r3がうまみ成分に関連する分子をコードし、うまみを感知するための受容体を形成しています。