釘を打ち、木材を削り、正確に寸法を合わせる。
大工仕事や家具作りには経験とスキルが不可欠だと思っていませんか?
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームはそんな常識を覆すAR(拡張現実)システムを開発しました。
「ARシステムを通して作業者の視界に切断の寸法や位置を重ねて表示する」というもので、初心者でも熟練工のように正確な作業が可能になるというのです。
この新しい技術は、未来の教育、製造、DIY文化にまで波及する可能性を秘めています。
では、この「AR×手作業」が生み出す新世界とは、一体どのようなものなのでしょうか?
詳細は、2025年4月11日の『EPFLのニュース』にて発表されました。
目次
- 鉛筆や巻き尺は必要ない!?AR木工システムが登場
- 手作業をサポートするAR技術が現場を変える!?
鉛筆や巻き尺は必要ない!?AR木工システムが登場

木材に墨を打ち、ノコギリで正確に切る。
その繊細な感覚は「習うより慣れろ」の世界でした。
しかしEPFLの研究チームは、ユーザーに大工作業の指示と正確な寸法を教えるという、画期的なARシステム「Augmented Carpentry」を開発しました。

ユーザーは、タブレットのカメラを使ってプロジェクトに必要な木材をスキャンした後、設計図をアップロードします。
そうすると、タブレットの画面を通して、実際の木材の上には「正確な寸法やカット位置が記されたゴーストモデル」が浮かび上がります。
カットの場所、各カットの深さ、角度、長さが1mm単位の精度で付与されるのです。

あとはユーザーがその指示に合わせてノコギリを入れたるだけで、正確なカットが行えます。