政府の政策に関係なく米国企業は脱炭素に前向き
世界の産業界における今後10年先の脱炭素をめぐる動きを見据えて、どのような企業が生き残っていくのか。
「例えば、水素とかCCU(二酸化炭素回収・有効利用)、CCUS(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)の観点で言うならば、自社のバリューチェーンでいろいろな要素をちゃんと抑えてオールマイティに進められる体力のある会社が強いのは変わらない。日本ではトヨタや三菱重工などは、すべてオールラウンドで技術を持っている。また、自社単独で解決できなくても、米マイクロソフトのようにVCM(ボランタリー・カーボン・マーケット:自主的な炭素取引市場)にて炭素除去のクレジットを調達している企業もある。そういう市場では需要に対して供給が極端に不足しているので、とにかく限界削減費用が少ない技術からどんどん選択するという動きは進んでいる。VCMでクレジットを調達するというのは、たぶん“ポストトランプ”を見越して進んでいくだろう」
VCMは、企業が再生可能エネルギーの導入や植林などによって削減した温室効果ガスの量に応じて「炭素クレジット」を発行し、それを取引する市場だ。温室効果ガスの排出量を1トン削減するのに必要な費用を「限界削減費用」と呼ぶが、米産業界では脱炭素への企業努力がしたたかに続けられている。実際、2017年に1期目のトランプ大統領が、正式にパリ協定からの離脱を発表した際、多くの米国内のリーダーたちは、地球温暖化対策の国際的な努力から手を引くのは科学的根拠に反するとして反対した。「We Are Still In」というイニシアティブも立ち上がった。
2期目のトランプ大統領がどのような政策を打ち出そうとも、産業界における脱炭素の流れは変わらない。
(文=横山渉/ジャーナリスト、協力=中垣隆雄/早稲田大学大学院教授)
提供元・Business Journal
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