旗手怜央 写真:Getty Images

 セルティックに所属する日本代表MF旗手怜央が、4月12日に行われたスコットランド・プレミアシップのキルマーノック戦(5-1)で2得点を挙げ、復調を印象づけた。

 6日のセント・ジョンストン戦(0-1)で敗れたセルティックは、スタメン変更が避けられない状況にあり、旗手が先発に名を連ねるか注目されていたが、その信頼に結果で応えた形だ。試合序盤の24分間で2点を決めた旗手のパフォーマンスは、彼の持つポテンシャルの高さを改めて証明するものとなった。

 しかし、その背景には旗手自身ではどうにもならない問題が潜んでいる。元セルティックのスティリアン・ペトロフ氏(2013年引退)は、旗手の不安定さの原因がクラブ側の起用方針にあると、12日に『Sky Sports Football』の番組内で指摘している。

 今2024/25シーズン、セルティックではFW古橋亨梧(現スタッド・レンヌ)、FWアダム・イダ、FW前田大然らが流動的に前線を務めており、ストライカーのタイプが試合ごとに異なっている。ペトロフ氏は「毎試合異なるストライカーと組むことが(旗手にとっての)問題を生む」と明言し、旗手が得点力を発揮するには純粋なストライカーとの連携が重要だとしている。

 実際、キルマーノック戦ではイダが中央に入り、前田がサイドに回ったことで、旗手にとってはゴール前に侵入するスペースが生まれ、その形から得点につながった。

 旗手は技術面でも認知能力でも高い評価を受けており、実際に重要なゴールも決めている。しかしセルティックというクラブの特性上、中盤の選手にも得点が強く求められる中で、安定して力を発揮するためにはシステム面での継続性が不可欠だ。旗手が直面する構造的課題はチーム全体の問題でもあるのかもしれない。

 旗手は過去にUEFAチャンピオンズリーグで対戦したブンデスリーガのRBライプツィヒ戦(2024年11月6日3-1)でも突出したパフォーマンスを見せており、ポテンシャルに疑いはない。だが、データサイト『WhoScored』による今シーズンの欧州大会およびリーグ戦での評価は平均7点を下回っており、その能力を最大限に発揮させる環境が整っていない現状が浮き彫りになっている。